『不動産フォーラム21』 今月の表紙

浜松市は、静岡県西部に位置する人口約80万人の政令指定都市である。人口、面積ともに県庁所在地・静岡市を凌ぐ。古くからものづくりが盛んで、ヤマハ、ホンダ、スズキ等の世界的な企業を生んでいる。最近ではノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊東大名誉教授をサポートした浜松ホトニクスが有名だ。
しかし、そうしたベンチャー精神旺盛な浜松も、地方都市にありがちな中心市街地衰退の悩みを抱えている。市街地が過度に郊外へ拡散した結果、市中心部の居住者が激減してしまったのだ。
もっとも、この旭・板屋地区での再開発の立ち上げは、未だ中心市街地が元気だった昭和56年にまで遡る。その後、バブル経済とその崩壊を経る中で事業は紆余曲折し、平成12年には当時の与党三党から中止勧告も受けた。事業再評価の結果、何とか継続が認められたものの、Ａ・Ｂ・Ｃの3つの地区に分割して、段階的に進めることを余儀なくされた。
シティタワー浜松を施設建築物とするこのＣ地区ではさらに、コンサルタントの交替、施工業者の入札不調などの苦難が待っていた。それでも入札時ＶＥ方式※1）の導入やＬＲＶ工法※2）の採用などにより、平成20年2月に着工にこぎつけると、一気に22年10月の竣工に至った。
浜松駅北口に立つと、ダークグレーを基調としたタイル貼りの外観に都会的でスタイリッシュな印象を受ける。ツインタワーの様相を呈する先に竣工したＢ地区のD'グランフォート浜松D's Towerとともに中心市街地活性化の使命を担う。

物件名称　：　シティタワー浜松
所　　在　：　静岡県浜松市中区旭町1番地　他
用　　途　：　住宅、店舗、ホテル、駐車場
竣　　工　：　平成22年10月
敷地面積　：　約2,761㎡（全体）
延床面積　：　約27,929㎡（全体）
高　　さ　：　約114ｍ
階　　数　：　地上32階、塔屋2 階
事　業　主：　旭・板屋Ｃ地区第一種市街地再開発組合
設　　計　：　奥野設計